今年はあちこちの展覧会に行っていると思う。出不精の自分としては上出来の前半だったが、中でもM+にいけたことは僥倖だった。

何より倉俣史朗の「きよ友」が内装丸ごと購入展示されていることが驚きだったが、そういう資金力と文化的志向性を強く感じた次第。日本の文化行政を思うと、モヤモヤとしたものが残る。香港レポートは機会があればしてみたいが、余りに濃かったのでまたいずれ。

倉俣史朗展を京都国立近代美術館でみてきた。諸々の用事のついでで、昨年世田谷美術館で観た展示でもあったので割と気楽な心持ちで足を踏み入れた。

世田谷との大きな違いは会場全体がやや暗めのトーンで統一されていること。照明もスポット系を強調し、そのおかげでアクリルのきらめきや、仕込まれたオブジェクトの効果も際立つ。展示の仕方でやはり印象は変わるものである。

面白いのはやや「政治的」な発言で、田中角栄のロッキード事件が喧しく伝えられていた時代、新潟の選挙区から対抗馬で立候補した野坂昭如氏の応援に、特に顔見知りでもないのに加わったりしているのが興味深い。今時の政治に触れたがらない風潮からすれば隔世の感がある。もちろん田中角栄に対するその後の評価は当時とは異なっているが、その行動に対しては尊敬の念を抱く。対して、いつも勝ち組に付く癖に「負け」を装う「世界的建築家」には些か疑念を抱く。

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