噂話…某公立美術系組織の噂話。覚書。

そこそこ名の通った学芸専門職員が今春の人事異動で長年勤めていたその職場を去らざるを得なくなったという。文字通り生え抜き的存在だったその方の異動先は、まるで畑違いの課ではないとはいえ、傍から見る限り「よもや」というところ。某公立美術館元館長どのにそういう人事の可能性について問うたところ「定期の人事異動でしょう」と、まあ「よくある」答え。そもそもそういう人物だから予想通りだが、「通常異動は“昇任”を伴うものだから昇任があるはず」と仰る。しかし公表されている資料によるとそのような状況は認められない。何しろ肩書きが変わらないのだから。しかしかの元館長どの、「微妙な昇任」だと譲らない。自分は人事については多く見てきたから間違いない、と仰る。しかし私に言わせれば、この違和感に無頓着でいられるのは、言ってみれば「正常性バイアス」であり、そのミクロな政治感覚は少々滑稽にさえ見える。ちなみに人事の意図については通常上司から何か伝えられるはずだ、という意見もあったが、どうやら何もされていない模様。。。

・・・思うにこれは、組織内での虐めではないのか?

どうやら漏れ伝わるところでは、当該課の課長とそのすぐ下にあたる部下は男女の情を交える間柄らしく、日頃よりその情を通じた仕事の差配・協力などが行われ、また組織内の課長周辺の人間たちも、その関係に追従するような状況が続いているらしい。早い話が、その上司周囲にはある種のネポティズムが働いている疑いがあり、そうした振る舞いが組織内での士気、仕事のクオリティを毀損している──可能性さえある。

困ったことに、上司自身がまた決して有能とは言えない様子で、輪をかけて情を通じる部下も有能ではない模様。その上、その二人が揃って、件の元学芸担当者からは上司にあたるという。実はもう一人上司にあたる人物がいるらしいが、その上司も、外された元学芸担当がいなくなることにまったく無関係というわけでもなく、組織内にうるさ型の古参がいなくなる、という「利点」は少なくともあったと思われる。一説には、元学芸担当者、上司の男女間の間柄を一、二度直接問い糾していたという話もあり、組織内でいいにくいところを空気を読まずに苦情として申し立てたというわけだ。詰まるところ、そんな「五月蠅い」元学芸担当を、彼らが結託して「パージ」した、という「見立て」を私はしている。(仮に三人目の上司が傍観していたにせよ、虐めの構図で見れば加担そのものである。)

勿論「証拠」などない。がしかし、不当に低い人事考査が与えられ、言ってみれば「真っ当な手続」でこのような人事が行われたのであれば、何と腐りきった組織かと胸くそが悪くなる。無能な上司とその上司と情を交わすもう一人の無能上司が(昭和的なパターナリズム的組織内男女関係)、組織全体のポテンシャルを下げ、反対にポテンシャルを維持しうる人物がその彼らにパージされる。自民党の今般の裏金議員への処分を見てもわかるとおり、あるいは国会での扱いを見てもわかるとおり、あるいはマスメディアの扱いを見てもわかるとおり、これは日本全体の問題の一部とまるで相似関係のように、まるで呼応するかのように、既視感を覚える。

バカ(盗人)がマトモな人間に「評価」を下し、バカ(盗人)同士が仲良く生き残る。

権力を持つ側(この場合人事評価をする側だ)が持たない側を不当に貶める。その権力に近い人びとは波風立てず、意図的に手をこまねいてコトを静観する。まるで安倍政治以降の日本の政治ではないか。(実のところ戦後のニッポンそのものだと思うのだが。)

地獄への道は善意で覆われている、といったのは誰だったか。しかし今や、善意で隠された悪意でさえない。隠しもしない悪意を受けとる能力も指摘する能力も、もはやなく、あからさまな悪意さえ「善意」にしたがるほどのマヌケが、日本全体をくまなく覆い尽くしている。

「知性」を忌み嫌うこの社会、「反知性主義」という言い草も厚い手垢にまみれているが、ソフトな「虐殺」が愉しげな鼻唄と共に進行中。

既に地獄である。

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