年末年始に何本かの映画を観ました。その中で最も印象に残っている一つがこれ。
『スズさん〜昭和の家事と家族の物語』
https://kirokueiga-hozon.jp/movie/movie-suzusan
名古屋では、名古屋シネマテークで上映されていましたが、スズさんの生い立ちからはじまって、戦前〜戦中〜戦後と昭和を生きてきた女性のドキュメンタリーを超えた、貴重な歴史の記録になっています。
ご息女で「昭和のくらし博物館」館長の小泉和子さんの解説がまた素晴らしく、昭和の暮らしの様子──といっても昭和は長いので、どちらかというと高度経済成長までの暮らしに限定されそうですが──が、映像から立ち上がってきます。
友人にお奨めしたところ、学生時代にも社会人になってからも、実は和子さんにお世話になった縁があるとかで、妙な奇遇を感じました。
スズさんの「専業主婦」としての日常を垣間見れば、相当な労働を負担していたことがよくわかり、しかもそれを当たり前のようにこなすのは、今ではとてもじゃないけど真似できないことで、いや当時でも実は優れて能力の高い主婦だったにちがいないのだけど、いまの便利さを思えば思うほど、その知恵や工夫に、大量消費にはない尊さを感じてしまいます。
「建築技師」だったスズさんの夫、孝さんが設計したという家がまた魅力的で、18坪の家に家族5人と、さらに二人の下宿生まで住まわせていたというのだから驚く。暮らし方もいまとはまったく違ったのですね。
小泉家の住宅が建てられたのが昭和26年、まさに建築基準法と建築士法が施行されたその翌年で、前年に併せて発足した住宅金融公庫の融資を受けたという。戦後の住宅建設・供給の原点ともいえるでしょうか。
間取り図などもパンフレットには掲載されていて(浴室がないのが当時の標準だったのですね、多分)、興味は尽きません。
改めて昭和という時代の激動と変化を顧みます。
もう上映が終わってしまいましたが、どこかで目にする機会があったら是非お奨めしたい作品。
近いうちに昭和のくらし博物館にも足を運んでみたい。
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